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施政方針
(令和8年6月5日)
令和8年6月嘉麻市議会定例会
本定例会は、令和8年度補正予算をはじめ、多くの重要案件についてご審議をお願いするものでございます。提案理由の説明に先立ちまして、私の市政運営における基本方針および主要な施策について所信の一端を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
私は、去る4月の市長選挙において、市民の皆様の温かいご支援を賜り、あらたに嘉麻市長という重責を担わせていただくこととなりました。
私はこの嘉麻の地で生まれ育ち、行政職員として約37年、一貫して市民の皆様の暮らしに寄り添ってまいりました。特にその大半を捧げた「相談業務」の中で、制度の狭間で悩む方々、将来に不安を抱えるお一人おひとりの切実な声に向き合ってきた自負がございます。
今、私がこの場に立っているのは、誰かに任せるのではなく、自らが先頭に立って「つながりを実感できるまち」を創りたいという一念からです。市政に反映されにくい「声なき声」に心を寄せ、対話と市民参画を軸とした、しなやかで透明性の高い市政運営へと大きく舵を切ってまいります。
現在、日本経済は賃上げの動きなど転換期を迎える一方で、エネルギー価格の高騰や深刻な人手不足が市民生活に影を落としています。国の高市内閣が掲げる経済安全保障や「地域未来戦略」による地方創生の加速は、本市の再生にとって大きな好機です。
しかし、国の方針をただ待つのではなく、本市の実情に即した「嘉麻市独自の創意工夫」が必要です。国の政策動向を的確に捉え、密接な連携を図りつつも、現場の声を最優先にし
た施策をスピード感を持って展開してまいります。
本市の財政状況は、経常収支比率が100% を超えるなど、極めて危機的な状況にあります。私は、基金に頼らない健全な財政体質への転換を最優先課題に掲げます。
これまでの事業を「ゼロベース」で検証し、優先順位を明確にする「選択と集中」を徹底いたします。ただし、それは単なる削減ではありません。市民の皆様が必要とし、納得できる施策へ資源を集中させることです。
具体的には、健全な財政への転換と、安心安全な防災力を備えたふるさとの再生。
また、女性や若者に選ばれるまちづくり、豊かな自然を生かした産業・観光の創造。
さらに、誰一人取り残さない「福祉のまちづくり」の視点、教育を通じた郷土愛や全ての人の連携等に取り組んでまいります。
特に「連携」の要となるのが、地域コミュニティ推進です。
人口減少が進むなかにあっても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、生活機能を維持・確保する地域づくりの取り組みを進めてまいります。
大規模災害や社会的孤立といった課題に対し、行政が担う「公助」はもちろんのこと、自らを守る「自助」、そして地域で支え合う「共助」が機能する仕組みを再構築せねばなりません。
そのために、市民一人ひとりが主役となる地域づくりの受け皿づくりを、地域の皆様とともに汗を流しながら進めていく決意でございます。
本市が「消滅可能性自治体」と指摘された現実、すなわちこの消滅可能性都市からの脱却は、私たちに「これまでの延長線上ではない変化」を求めています。
女性や若者が「ここに住み続けたい」と思えるまちは、すべての人にとって優しいまちです。
このことに関しては、私は、「ジェンダーギャップの解消」の視点を市政の重要エンジンとする必要があると考えています。
具体的には、本市の最上位計画である総合計画や総合戦略におけるジェンダーギャップの解消の取り組みを力強く配置し、構造的な課題の解決を図ってまいります。
幼少期からのジェンダー教育、DVや虐待への対策、そして仕事と生活の調和。
これらを「福祉の視点」で統合し、一人ひとりが尊重され、活躍できる元気な嘉麻市を創り上げてまいります。
特に、未来の嘉麻市を創るためには、女性に選ばれる地域への変革が不可欠です。
政策の意思決定の場へ女性の声をダイレクトに反映させるため、女性から意見をいただく「女性100人会議」の実施に取り組みます。
多様なライフステージにある女性たちの本音や知恵をお借りし、これまでの固定観念にとらわれない、真に実効性のある施策へと結実させてまいります。
私の基本姿勢は、「市民の声に心を傾け、ともに考え、行動すること」です。
「嘉麻市に住んでよかった、これからも住み続けたい」と、すべての人に実感していただける未来。
その実現に向け、市民の皆様、そして議員各位の真摯なご助言を賜りながら、誠心誠意、全力で邁進する決意でございます。
さて、令和8年度の市政運営としては、第2次総合計画の基本方針に、これまで述べさせていただいた視点を含み、具体的な課題や取組を申し述べさせていただきます。
初めに、基本方針1 「豊かな暮らしを支える活力あるまちづくり」に関する取組について申し上げます。
農業振興におきましては、「国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成」などの多面的機能を将来にわたり維持・発揮するため、国・県と連携し、「多面的機能支払交付金」及び「中山間地域等直接支払交付金」を活用した取組の充実・拡大を推進してまいります。
また、水田収益力強化ビジョンに基づき、国の最新情報や施策動向を踏まえ、高収益作物の導入や転換作物の付加価値向上に向けた検討・支援を進め、産地競争力の強化に取り組んでまいります。
さらに、担い手不足の解消に向けては、就農希望者に対し、市のみならず県の普及指導センターや農業協同組合などの関係機関と一層緊密に連携し、就農相談から就農後の経営安定まで切れ目のない支援体制を強化してまいります。
あわせて、農業分野のデジタル化では、スマート農業技術の導入を支援し、省力化と高品質生産の実現、データ活用による効率的な営農の普及を進めてまいります。
加えて、有害鳥獣による農作物被害の防止に向けては、鳥獣被害防止対策実施隊による捕獲活動等を通じた個体数管理を図るとともに、嘉飯桂地区鳥獣被害防止対策協議会を中心とした広域での被害防止対策の取組を推進し、農業者が安心して営農を継続できる環境の整備に努めてまいります。
林業振興におきましては、森林環境譲与税を活用し森林所有者の経営管理に関する意向調査を実施し、管理の委託などを希望する森林について調査してまいりました。
その結果を活用し荒廃森林整備事業により、長期間放置された人工林を健全な状態で次世代へ引き継ぐため手入れを行い、林業経営の効率化及び森林管理の適正化の一体的な促進を図り、林業の継続的発展及び森林の有する多面的機能の発揮を推進してまいります。
商工業振興におきましては、令和5年に策定した第2次嘉麻市中小企業振興基本計画に基づき、引き続き市内事業者の持続的な発展を目標として各種施策を推進してまいります。
令和7年度に実施しましたデジタル化に関する事業者アンケートの集計結果をふまえ、業種やデジタル化の進捗状況に応じた効果的な施策を展開してまいります。
また、補助事業としては、地域資源を活かした魅力ある商品の開発支援をはじめ、集客力や売上向上につながる店舗リフォーム支援、さらには地域における雇用の創出や地域経済の活性化、市内への定住促進を目指した移住定住起業支援に注力し、市内での消費の促進、経済の循環、交流人口の増加に取り組むことで、持続可能な地域経済の実現を目指してまいります。
企業誘致におきましては、雇用の場の拡充に向け、新たな企業の誘致と既存企業の規模拡大を促進するための施策を展開してまいります。
現在取り組んでおります、山野地区における工業団地整備につきましては、大手デベロッパーである「大和ハウス工業株式会社」と、その実現に向けた連携協定を締結しておりますので、嘉麻市は当該企業への後方支援を行いながら引き続き進めてまいります。
民間による工業団地の整備や企業誘致の手法を学び、嘉麻市が、そのノウハウを吸収していくのは、民間企業と良好な関係を構築し、産業を育てていく大切なプロセスです。
今後、本格的な財政再建に向けて、民間活力を通じた新たな雇用創出への取り組みを積極的に行ってまいります。
また、既存の工業団地においても、産業振興に相応しい利用形態を維持できるよう、対策を講じる必要があることから、新たな計画の策定を検討してまいります。
本市の地域経済の活性化や雇用創出などの重要な役割を担っている既存企業につきましては、市内企業で構成する誘致企業振興会の活動を支援することにより、会員企業間の協力を促し、優秀な人材の確保や技術力の向上を図り、事業拡大の促進など地域産業の振興を進めてまいります。
こうした取り組みにより、さらなる雇用の場の創出を目指し、市への企業誘致の実現に邁進してまいります。 観光振興におきましては、「アウトドアシティ宣言」および「第3次観光振興基本計画」に基づき、デンマーク語で心地よく豊かな時間の過ごし方や暮らしを意味する「Hygge(ヒュッゲ)」をコンセプトに据えた観光まちづくりを推進し、アウトドアシティ嘉麻のさらなる認知向上と魅力発信に努めてまいります。
あわせて、次期「第4次観光振興基本計画」の策定に向け、アンケート調査や観光事業者へのヒアリングを実施し、現状分析や基礎調査を通じて課題の整理と方向性の明確化を図ってまいります。
さらに、市内に所在する歴史ある酒蔵に関連する日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産へ登録されたことから注目を集めており、日本酒をはじめ、市内にある多様で貴重な歴史・文化資源を最大限に活用してまいります。
嘉麻市観光まちづくり協会や地域事業者と連携し、観光や宿泊を含む体験型コンテンツの充実を図ることで、これまで十分に活用されてこなかった地域資源の価値を引き出し、嘉麻市独自の歴史・文化を活かした文化観光まちづくりを推進してまいります。
移住・定住促進におきましては、地域おこし協力隊や民間活力を積極的に活用するとともに、全国古民家再生協会や全国空き家アドバイザー協議会、福岡県・東京都の認定NPO法人ふるさと回帰支援センターなど関係機関との連携を強化してまいります。
あわせて、移住支援金などの制度や市独自の住まい応援交付金の周知を一層推進し、情報発信の充実を図ることで、移住・定住の促進につなげてまいります。
次に、基本方針2「誰もが健やかに暮らせる福祉のまちづくり」に関する取組について申し上げます。
生涯にわたるいきいきした健康社会の実現におきましては、関係機関との連携を図り、市民の健康づくりへの意識の向上及び主体的な健康づくりを支援するための事業の更なる推進を図ってまいります。
国民健康保険加入者の健康保持増進及び国民健康保険事業特別会計の経営健全化におきましては、第3期データヘルス計画に基づき、飯塚医師会等関係機関と連携のもと、特定健診受診率及び保健指導率の向上、糖尿病等の生活習慣病予防事業に取り組み、健康寿命の延伸と医療費適正化を両輪で進めることで、国民健康保険事業の安定的な運営と財政の健全化を目指してまいります。
高齢者福祉の推進におきましては、「嘉麻市高齢者福祉計画」及び「第9期介護保険事業計画」に基づき、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で安心して生活が営めるよう、介護保険サービスの充実をはじめ、健康づくりの推進、介護予防の充実、認知症対策への取組など、地域包括ケアシステムの深化・推進を図るとともに、適切かつ公平な要介護認定の確保やケアプランチェックなどにより、介護給付の適正化をさらに進め、現行の介護保険料を維持できるよう、介護保険制度の安定的な運営を推進してまいります。
また、令和9年度から令和11年度の3ヶ年を計画期間とする「嘉麻市高齢者福祉計画」及び「第10期介護保険事業計画」の策定においては、第9期計画の検証や中長期的な推計に基づき、高齢者福祉施策や介護保険料などについて検討を行い、「嘉麻市認知症施策推進計画」を含め一体的に策定してまいります。
子育て支援の充実におきましては、「嘉麻市こども計画」を踏まえ、各種事業を計画的に推進するとともに、SNSやホームページ、子育てガイドブックなどによる情報発信を積極的に行い、「すべてのこどもが夢を持ち、生涯しあわせに暮らせるまち 嘉麻」を目指してまいります。
市独自の取組といたしましては、保育料の軽減や障がい児保育支援事業の実施、将来を担う子どもの誕生を祝う「すくすくかまっこ祝金」の支給、県の補助金を活用した第3子以降保育料の無償化などを継続して実施するとともに、学童保育所における19時までの延長保育実施など、子育て世帯への継続的な支援を行ってまいります。
妊娠、出産、子育てに対する切れ目のない支援におきましては、妊婦健康診査の助成、産後ケア事業の充実に加え、国・県補助事業である「妊婦のための支援給付」により、金銭または電子ポイントを給付し、経済的負担の軽減を図るとともに、乳幼児健診や発達支援事業の連携など、継続的な支援を推進してまいります。
また、児童生徒を取り巻く課題等への対応に向け、教育相談と合わせ、スクールソーシャルワーカーによる相談体制の整備を図ってまいります。
児童虐待につきましては、関係課や児童相談所などの関係機関と連携し、未然防止と早期発見、早期対応を図るとともに「嘉麻市こども家庭センター」を中心に母子保健、児童福祉、子育て及び教育の相談等に対する支援事業の一体的な実施に向け、切れ目のない総合的かつ継続的な支援の充実を図ってまいります。
ノーマライゼーションの理念に基づく障がい者福祉の充実におきましては、「第4期障がい者計画」及び「第7期障がい福祉計画・第3期障がい児福祉計画」に基づき、共生社会の実現に向けて、障がい者及び障がい児一人ひとりの障がいの特性やライフステージに応じた総合的かつ継続的な支援の充実を図ります。
安心・ゆとりのある地域福祉の充実におきましては、本年3月に、福祉分野の個別計画の上位計画として位置づけられる「第3期地域福祉計画」を令和8年度から令和12年度までの5ヶ年を計画期間として策定いたしました。
本計画に基づき、複雑化・複合化する地域の生活課題に対応するため、支え合いの意識と人づくり、自分らしく暮らせる地域づくり、安心安全に暮らせるまちづくりの推進に取り組んでまいります。
次に、基本方針3「ふるさとに誇りを持てる教育・文化のまちづくり」に関する取組について申し上げます。
学校教育における少人数指導などによる学力向上では、習熟度別授業等の少人数指導や一人一台タブレット端末をはじめとするICTを活用した学習、毎週土曜日に実施する「土曜未来塾」の継続実施などにより、一人ひとりの可能性を最大限に引き出す「個別最適な学び」と多様な他者と高め合う「協働的な学び」をお互いに補完させながら、学力の向上を図ります。
さらには、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握しながら、適切な指導や必要な支援を行う特別支援教育の充実を図ってまいります。
小中一貫教育推進事業では、「ふるさと嘉麻を胸に志を持ち社会にはばたく子どもたちを育成する」を目標に、令和5年度に開校した稲築西・稲築東・碓井義務教育学校を中心に、義務教育学校ならではの教育活動を創出するとともに、施設分離型の嘉穂中学校区、山田中学校区におきましても小中一貫教育をさらに充実させてまいります。
さらに、コミュニティスクール推進事業や郷土を愛する子どもの育成事業にも重点を置き、地域との連携強化やふるさと学習の充実にも取り組んでまいります。
これらの事業を通して、「就労できる学力や心の育成」を目指してまいります。
生涯学習の推進におきましては、教育アクションプランの主要施策である「生涯学習の実現を目指す社会教育の推進」、「人権尊重精神を育成する教育の推進」、「市民文化の創造」の3つの柱に基づき、市民一人ひとりがいつでも学ぶことができ、その成果を次の世代に活かすことができる社会の実現を目指してまいります。
また、社会教育施設の統廃合等を検討し、嘉麻市の財政状況に見合った適切な管理を実施し、地域課題の解決、市民の多様な学習ニーズに引き続き応えられるよう、学校及び関係団体等との連携を図りながら、社会教育、人権教育、文化振興を推進してまいります。
プロジェクトK事業におきましては、市民一人ひとりの健やかな心身の育成と地域活力の向上を目指し、「荒木式コオーディネーショントレーニング」を核としたスポーツ施策を推進し、幼児から高齢者まで幅広い世代を対象に、脳神経の発達、運動能力の維持向上に資するプログラムを展開してまいります。
また、学校・地域・関係機関と連携し、指導者の育成と普及体制の強化に努めるとともに、誰もが気軽に参加できるスポーツ環境づくりを進め、健康で活力あるまちづくりを目指してまいります。
次に、基本方針4「自然と共生する安全・安心なまちづくり」に関する取組について申し上げます。
防災・減災対策におきましては、「自助」「共助」「公助」の連携の輪を広げることを基本とし、それぞれの取り組みを強化してまいります。
まず、広報やSNS、出前講座等による情報発信を行い、「自分の身は自分で守る」という「自助」意識の醸成を図ってまいります。さらに、「共助」の要となる自主防災組織の育成や設立支援を促進してまいります。
一般国道322号嘉麻バイパスの整備におきましては、バイパスの整備により、移動時間の短縮が図られ、地域間交流や物流活動の更なる活性化に繋がるものと確信しております。
令和5年に、下山田・牛隈間をつなぐ「山田トンネル」の完成につづき、令和7年に牛隈・大隈町間をつなぐ「大隈トンネル」が完成しました。
現在、県において、事業区間の整備は着実に進展しております。
全線開通は、本市の活性化に大きく寄与するものと確信しております。
今後も本区間の早期供用開始に向け、国や県への要望活動を継続するとともに、事業が円滑に進むよう関係機関との緊密な連携を図ってまいります。
公共交通の利便性の確保におきましては、市バス運行形態の改変を行った令和2年度以降、利用者数は毎年増加しており、運行開始当初の利用者数からみますと、令和7年度実績では、年間利用者数が約5万5千人の増加となり、路線定期運行、デマンド運行ともに着実に利用者数を伸ばし、市民の移動手段の一つとして定着しているところです。
直近では、待合環境整備として、バス停に上屋やベンチを設置するなど、利便性の向上に取り組んでいます。
また、令和7年度におきましては、路線の変更や日祝ダイヤの導入を行うなど、運行の効率化を図ってまいりました。
今後も「地域公共交通計画」に基づき、路線定期運行、デマンド運行においては、利用者の声や利用状況などを踏まえた安全で効率的かつ利便性の高い運行の調整に取り組むとともに、待合環境の整備などによる利用促進を図り、官民が共存し将来にわたって公共交通を維持確保できるよう取り組んでまいります。
環境にやさしいまちづくりにおきましては、自然環境の保全に向け、「第2次環境基本計画」に定めた施策を推進するとともに、国の環境基本計画を踏まえて環境・経済・社会に関する課題の総合的解決を目標に、持続可能な嘉麻市の実現に向けSDGsの達成を目指してまいります。
さらには、「ワンヘルス推進基本計画」及び「ワンヘルス実施計画」に基づき、「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一つの健康と捉え、一体的に守っていくワンヘルスの理解を広めるとともに、関係各課と連携しながら事業に取り組んでまいります。
また、このことに関連し、昆虫産業都市構想事業として、嘉麻市昆虫産業都市基本構想に基づき、九州大学、国、県、経済・産業団体など産学官民連携し、産業及び環境政策等に取り組んでまいります。
琴平分譲地の販売におきましては、周辺が「道の駅うすい」を中心とした賑わいのある地域であり、また、美術館や義務教育学校など、芸術や文化、教育の環境が整った優れた住環境であるため、移住・定住につなげる住宅用分譲地の販売を推進してまいります。
次に、基本方針5「市民と行政による協働のまちづくり」に関する取組について申し上げます。
人権教育・人権啓発の推進におきましては、市民と行政が協働し、まちづくりを実践していくにあたって、誰もが「人権」の視点を持つことが重要であります。
全ての行政施策は人権施策であり、様々な人権課題解決への取り組みは行政の責務であるという認識のもと、「差別のない人権が尊重されるまちづくりの推進に関する条例」の下で「人権教育・啓発基本方針」及び「第3次実施計画」を策定し、取組を継続的に進めてまいりました。
一方で、人権課題について、思い込みや理解が不十分であることにより、意図せずに発した言葉で気付かないうちに周りの人を傷つけてしまうといった事案も、日常生活の様々な場面で起こっております。
行政として、それらの人権課題に的確に対応できる資質の向上はもちろんのこと、関係機関と連携し、市民一人ひとりに、身の周りの人権問題に気付き、誰もが直面しうる問題として正しく理解していただくための人権施策を推進し、部落問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決と人権が尊重される社会の実現を目指してまいります。 男女共同参画の推進におきましては、男女共同参画のまちづくりを目指し、前年度に実施した男女共同参画社会に向けての市民意識調査を基に「第3次嘉麻市男女共同参画社会基本計画」、「第2次嘉麻市配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画」を一体とした「第4次嘉麻市男女共同参画社会基本計画」の策定に取り組みます。
本計画は令和9年度から令和13年度までの5ヶ年を計画期間とし、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく女性活躍推進計画及び困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画を含めて策定することとしております。
また、本計画策定における重要施策として「女性が住みやすいジェンダー平等のまち」を掲げ、ジェンダーギャップ解消に取り組み、女性に選ばれるまちづくりを目指します。
これからも、本計画に基づき市民と協働のもと男女がともに参画する嘉麻市のまちづくりの実現に向けて取り組んでまいります。
市民参画の推進につきましては、まちづくりにおける市民参画や地域コミュニティの果たす役割が、ますます重要なものとなっております。
また、SDGsという「持続可能な取組」への概念は必要不可欠となりました。
特に、市民生活を支えるコミュニティについては、これまで地域活動の中心を担ってきた行政区において、人口減少・少子高齢化による担い手不足や地域とのつながりの希薄化による加入者の減少などにより、地域課題への対応が困難となってきており、地域コミュニティの新たな枠組みが求められています。
本市では、地域における、防災、環境美化、生活支援、見守り支援、伝統芸能の維持継承などのコミュニティ課題解決のための一つの方策として、概ね小学校区単位での「地域運営組織」の設立を支援しており、現在、3 地域が組織設立を目指し取り組んでいるところです。
地域コミュニティの推進は、「市民が主役」のまちづくりを実現するための基盤であります。人口構造の変化が進み、地域の担い手が不足する中で、行政が一方的にサービスを提供するだけでは、持続可能なまちづくりは実現できません。
そのため、令和8年度からは「市民との対話を重視した組織運営」を軸に、地域コミュニティ政策を推進してまいります。
具体的には、市民との対話を市政の中心に据え、市民の声を直接伺い、課題を共有する仕組みを構築してまいります。
旧庁舎跡地の利活用につきましては、本庁、各総合支所のある地域が有機的に連携し、発展することを目指し、地域整備基本計画に基づき、地域の特性を活かした利活用を図ってまいります。
行財政改革におきましては、令和7年度まで第4次行政改革に取り組み、事務事業の効率化や民間委託の推進に努めてまいりました。令和8年度からは令和12年度までの5年間を期間とする第5次行政改革大綱及び同実施計画に基づき、不断の改革を実行してまいります。
本市を取り巻く環境は、人口減少の加速や少子高齢化に伴う市税収入の減少、社会保障関係経費の増嵩に加え、公共施設・インフラの老朽化対策など、依然として極めて厳しい財政運営が続く見込みです。
こうした状況下において、将来にわたって市民サービスを維持し、自立した自治体として存続するため、本計画では短期的には「持続可能で効率的な行政運営体制の確立」を、長期的には「自立した自治体としての確固たる行財政基盤の構築」を目標に掲げ、戦略的な財政マネジメントと行政の事務効率化を強力に推進してまいります。
特に、本市の財政を圧迫する大きな要因となっている公共施設等の管理につきましては、喫緊の課題です。
持続可能な公共施設マネジメントに向けた人口・財政規模に見合った施設保有量への適正化を図るため、第2次公共施設等適正化基本方針に基づき、施設の長寿命化に加え、集約化・複合化、統廃合を計画的に推進してまいります。
具体的には、令和8年度中に個別施設見直し計画を策定し、この計画実行の徹底により、次世代に負担を先送りしない、財政規模に見合った適正な公共施設配置の実現に向け、取り組んでまいります。
また、各種補助金につきましても、適正かつ透明性の確保を図るため、補助金支出に関する基本的な考え方を明確化し、全庁的な見直しに取り組んでまいります。
特に、市の貴重な財源となっている、「ふるさと納税」におきましては、度重なる国の制度改正等により、大幅な減少傾向にあるほか、全国的な二極化の進行や、新たな民間サービスの台頭など、迅速かつタイムリーな対応が強く求められており、職員体制の強化を図り、さらなる増収に向けて戦略的に取り組んでまいります。
行政のデジタル化の推進につきましては、市民にとって便利で分かりやすいデジタル化を推進するため、オンライン申請の拡充、デジタルデバイド対策として公民館事業等とも連携し、出前講座やスマホ講座等の開催など、デジタル推進啓発活動をきめ細やかに展開します。
これにより、嘉麻市デジタル推進計画( カマデジ)に掲げています「デジタル・人・自然が融合するまち、嘉麻。」を実現し、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指してまいります。
これらを支える基盤としてシステムの安定稼働と情報システム標準化移行を円滑かつ確実に進めると共に、最新の脅威に対応した情報セキュリティの強化、及び情報資産の管理運用を徹底してまいります。
また、デジタル推進を実行性あるものとするため、職員のデジタル人材育成に注力して組織の対応力を向上させ、生成AI等の利活用など業務効率化を図り、行政サービスの更なる向上に取り組んでまいります。
定住自立圏構想におきましては、「定住自立圏形成協定」および「第2次嘉飯圏域定住自立圏共生ビジョン」に基づき、飯塚市、桂川町との緊密な連携のもと、生活機能の充実や地域の魅力向上を強力に推進し、医療・福祉・子育てなど、あらゆる分野において圏域住民の皆さまが将来にわたり安心して暮らし続けられるよう、取り組みを進めてまいります。
さらに、圏域の2市1町が県の施策との連携強化を働きかけたことで、「嘉飯桂地域振興ビジョン」の策定が実現いたしました。
今後は、2市1町の圏域による取り組みに、県のビジョンを加えて圏域全体の発展を一層加速させてまいります。
以上、私の基本的な考え方を申し述べました。
結びになりますが、山積する課題は、一朝一夕に解決できるものではありません。
しかし、こうした困難な時こそ、私たちは歩みを止めることなく、現場の声に真摯に耳を傾け、あらゆる可能性を模索しながら、解決への確かな道筋を見出していかねばなりません。
私の重要な市政に対する方針である、嘉麻市民の皆様との対話を通じて「つながり」を実感し、「次世代に誇れる嘉麻市」を共に創り上げたいと考えておりますので、市民の皆様、そして議員各位の特段のご理解とご協力を切にお願い申し上げ、令和8年度の施政方針とさせていただきます。
令和8年6月
嘉麻市長 佐伯 憲子